私の大好きな映画評論家に 町山智浩さんという方がいる。
この方は現在サンフランシスコのベッドタウン、バークレイ(バークレイ大学があり学生の街でもある…緑に囲まれた大変綺麗な街)にお住まいで活発に活動されている博識の評論家である。
この方が以前紹介して下さった映画のお話し。
僕が長年不思議に思っていたこと(こちらで紹介) の答えを教えて下さったお話しである。
アメリカではクリスマスシーズンになると、必ずテレビで放映する映画がいくつかある。
■ チャーリー・ブラウンのクリスマス
ご存じスヌーピーのアニメである
■ フロスティー・ザ・スノーマン
古い映画で 雪だるまが主人公の映画
■ 赤い鼻のトナカイ
古くなつかしい人形アニメ
■ 素晴らしきかな人生
第二次世界大戦直後に制作された映画
である。
実はこの映画 公開当時は観客がまったく入らず、この映画のために会社まで設立したフランク・キャップラ監督は会社が倒産し無一文になってしまう。
『素晴らしきかな人生』というタイトルの映画にもかかわらず この映画のために監督の映画人生が終わってしまう。
しかし、この映画はだんだんアメリカ人の心の中に入り込んでいく。
というのも会社が倒産したので、この映画の権利が安く売られてしまう。しかし安く売られたが為にテレビでの放映料も安価に押さえられ、結果色んなテレビ局で何回も何回も放映されることになったのである。
アメリカ人はこの映画を何回も観ている内に この映画は実は傑作なのではないかと気がつき始める。
そして現在も クリスマスの時期になると 映画の傑作として放映されるのである。
何回も観ているのにもかかわらず毎年観ずにはいられない映画、それが『素晴らしきかな人生』なのである。
是非 ご覧頂きたい。
さて次に 例の不思議なことの答えを教えてくれた映画
■ 34丁目の奇跡
リニューアルもされている有名なクリスマス映画
この映画はアメリカの有名な百貨店 Macy’s(メイシーズ)の全面協力の下に作られた映画であるが、クリスマスに乗じて商売をする連中を批判する映画である。(笑)
アメリカではクリスマス・シーズンになるとそのために雇われたサンタクロースが、デパートのコーナーに座って、子供達を膝に乗せクリスマスのプレゼントは何が欲しいかを尋ねる。
そのやりとりを親が聴いて、子供の欲しい物をそのデパートで買って帰るという仕組みのデパートのプロモーション(商品を売る仕組み)なのである。
物語はこのプロモーション用のサンタクロースの話である。
飲んだくれて、いつもへべれけの雇われサンタクロースの代わりにクリス・クリングルと名乗る老人がサンタを引き受ける。
このサンタは子供から欲しい物を尋ねるが、そのおもちゃが雇い主であるメイシーズのデパートには置いて無いので置いてある他の店の名と場所を教える。
また、このサンタはどんなおもちゃでも、どこに売っていて、どの店が安いかという情報をどんどん親御さん達に伝える。
それを聴いたメイシーズの社員は怒る。
なぜ他の店に行けと言うんだ、おまえを雇っているのはメイシーズでその店ではない、と。
ところがこのメイシーズの事だけを考えるような自己中心的ではない、お客さんのことを考えてくれるサンタのことが評判になり、お客さん達はこのサンタに会う為にメイシーズに押し寄せる。
この模様を見たメイシーズの社長も大喜び。『メイシーズは自分の店のことだけを考えているのではなく、本当にお客さんの事を考えてくれているから 他の店の情報も教えてくれるんだ』という評判が立ち、結果メイシーズのお客さんが増えるのだということを理解する。
これは 『Live and Let Live』という考え方で、 直訳すると『生かすことで生きる』となる。
つまり、『誰かを助けることによって、自分も助かる』という意味である。
この映画の物語はまだ先に続くが、是非ご自分でご覧になって戴きたい。
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