【続編】ついに筆記試験!…しかし郵便番号の罠が僕を襲う

【続編】ついに筆記試験!…しかし郵便番号の罠が僕を襲う

いよいよ筆記試験の段階に突入した。

でも、僕には自信があった。というのも、日本にいた頃から「筆記試験は絶対に落とせない」と意気込んで、毎晩のように問題集を解きまくっていたのだ。

問題集は全部で600問。アメリカの民間パイロットライセンス(PPL)の筆記試験は、その600問の中からランダムに50問が選ばれて出題される形式。すべて5択のマークシート方式だ。日本の受験戦争を潜り抜けてきた僕からすると、「なにそれ、楽勝じゃん?」って感じだった。

だから、試験当日も余裕しゃくしゃく。
むしろ「早く飛びたい」という気持ちが先走っていて、試験なんて通過点にしか思えなかった。会場のコンピュータルームでパパッと解いて、制限時間の半分も使わずに退出した。手応えは十分。「これは満点いったな」とすら思っていた。


帰宅後の“待ち時間”

その日は帰り道に近くのCarls Jr.でチーズバーガーを買って祝杯をあげた(まだ結果も出ていないのに)。
「アメリカのファストフードってこんなにうまいのか」と感動しながら、どこか浮かれていたのかもしれない。

だが、ここからが本当の地獄の始まりだった。


合格通知が…来ない?

試験を受けた翌週、僕は毎日ポストを確認していた。
でも、来ない。
2日、3日、1週間…。
あれ? アメリカってこんなに郵便遅いの?
それとも…まさか落ちた?

いやいや、あの出来で落ちるなんてことはあり得ない。とはいえ、アメリカの試験って「選択肢がいやらしい引っかけ」ばかりなのか?…などとネガティブ思考のスパイラルに突入する。

不安になってスクールの事務に聞いてみた。

「通知、まだ届かないんですけど」

事務「え、普通なら3日で届くけど…。住所ちゃんと書いた?」

うん、書いた…気がする。いや、書いたけど……書いた、けど……あれ?


真実はZIPコードの向こうにあった

通知が一向に届かない理由を考えていたとき、ふと脳裏に浮かんだ。
「もしかして……住所、間違えた?」

記憶をたどり、書いた住所を思い出してみると、やっぱりZIPコードをひとケタ間違えていた可能性が高い。

いても立ってもいられず、僕は間違えたZIPコードのブロックを訪ねて回ることにした。
一軒一軒ドアをノックしながら、封筒を見なかったか尋ねる。完全に不審者だ。だがそんなことはどうでもよかった。

そして——数軒目の家で、ついにそれは見つかった。

封筒はすでに開けられていた。だが、中身はちゃんと無事だった。
住人はこう言った。

「I figured someone would come looking for it. So I held on to it.」

そう、彼は僕が来るのを待っていてくれていたのだ。
通知は捨てられず、ずっとそのまま保管されていた。

思わず「Thank you!!」と叫んだ。見ず知らずの日本人に、そこまでしてくれるなんて。


ZIPコード、あなどれない

アメリカの住所は独特だ。
「1234 W. Main St, Apt. 5, Los Angeles, CA 90012」みたいに、すべての建物がナンバリングされていて、しかもZIPコード(郵便番号)を正しく書けば、たいてい届く仕組みになっている。

逆に言えば、ZIPコードを間違えれば「違う家」に届く。

僕はまんまと、その落とし穴にハマったのだった。
書いたZIPコードは、うちの住所の「10番違い」。そりゃ届かないわけだ。


結果は——100点満点

そして封筒を開けると、そこには信じられない結果が。

SCORE: 100/100

やった。パーフェクト。

あれだけの問題を解きまくった甲斐があった。
In-N-Outで祝杯あげた自分を褒めてやりたい。
どんなもんだい。


でもその間に…

ただし、待っている間にも時間は流れている。
スクールでは、すでにフライト訓練がスタートしていた。

みんなが空を飛び始めている中で、自分だけが地上でモヤモヤしていたのかと思うと、正直ちょっと悔しかった。

でも、次はついに僕の番。

「空に上がる日」が、目前に迫っていた。

——つづく

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