英語で撃沈!?ようこそアメリカ──ロサンゼルス空港での洗礼
前回の記事では、入国拒否からのリベンジを果たし、再び空の旅へ。
今度こそ!と意気込んで、日本航空に乗り込みロサンゼルス空港(LAX)に降り立った僕。
初めてのアメリカ、初めてのカリフォルニア、初めてのロサンゼルス。夢にまで見たアメリカの地に、ついに足を踏み入れたのです!
入国審査突破!心臓バクバクの再挑戦
そして、いよいよ入国審査——。
前回、シアトルでイミグレの厳しい尋問に遭い、まさかの入国拒否。
あの時のトラウマが蘇り、僕の額にはじっとり冷や汗、心臓はバクバク。
「また何か言われるんじゃないか…」と不安でいっぱいのまま、入国審査の列に並びました。
パスポートを手に持つ手も若干震えています。
ところが……
何のことはない、すんなり通過。
拍子抜けするほどあっさりスタンプが押され、晴れてアメリカ入国!
嬉しいというより「えっ、これだけ?」と一瞬信じられなかったくらいです。
アメリカって…なんか、すごい!

通関を無事に済ませ、ターミナルの外に出たその瞬間。
「うわ、映画の中やん…」
胸いっぱいに乾いた空気を吸い込むと、ターミナルビルと駐車場ビルの隙間から覗く空は、信じられないほどの青さ。
さんさんと降り注ぐ太陽。目に入る風景は、まさにハリウッド映画そのもの。
そして不思議な感覚に包まれる──
「なんかできそう……!」
言葉ではうまく言えないのだけど、日本では感じたことのない“エネルギー”が、心の奥底から湧いてくる。
それは確かに存在していて、僕の背中を押してくれるような、そんな力でした。
目の前に広がるのは未知の世界。そのすべてが魅力的で、ちょっと怖くて、でも好奇心が止まらない。まさに“冒険のはじまり”の感覚でした。
余韻に浸ってる暇はない!乗り継ぎだ!!
しかし感動に浸っている間もなく、次なるミッションが僕を待ち構えます。
国内線への乗り継ぎ。
目的地はサンフランシスコ。使用する航空会社はユナイテッド・エアラインズ。
問題は、この巨大なロサンゼルス空港でユナイテッドのチェックインカウンターにどうたどり着くか。
当然スマホなどない時代。Wi-FiもアプリもGoogleマップもない。紙の地図?持ってない。
頼れるのは自分の“勇気”と“片言の英語”のみ!
英語での第一声──勝負の瞬間!
大きなボストンバッグを引きずりながら、とりあえず人の流れについていくと、ウェスタン・エアラインのカウンターが見えてきました。
「よし、聞いてみよう」
ここで事前に考えていた英作文を思い出します。
「Where is United Airline’s check-in counter?」
自信満々とは言えないが、何度も練習したフレーズ。いざ実践!
グランドホステスの女性二人が談笑しているところへ近づき、深呼吸。そして勇気を振り絞って質問!
ところがその瞬間……
「きゃははははは!」
えっ、笑われた!?

一瞬、何が起きたかわからずキョトンとしていると、彼女たちは床を指差しながら
「Here!」
どうやら、僕が尋ねた言葉に原因があったようです。
再度、頭の中でリプレイ──
「えーっと……Where is United States?」
……えっ!?United States!?
そう、僕は「ユナイテッド航空のチェックインカウンターはどこですか?」と尋ねたつもりが、
「アメリカはどこですか?」
と、カリフォルニアのど真ん中で全力で聞いてしまったのでした(笑)
空気がふっと軽くなる、そんな瞬間
自分の英語力に冷や汗が出つつも、なぜか笑ってしまいました。
カウンターの彼女たちも悪意はなく、むしろ温かい笑いという感じ。
それがまた嬉しかった。
初めての異国で、初めて発した言葉が“ズコー!”な間違いだったことで、逆に緊張がすーっと解けていったのを覚えています。
笑いって、本当に世界をつなげる力があるんだなと実感した瞬間でした。
再度、彼女たちにちゃんと「United Airlines」の場所を尋ね、笑顔で送り出してもらい、なんとかチェックイン成功!
ターミナルを歩く冒険者
今なら、ターミナル間を結ぶ循環バスにさっと乗るだけ。
でも、当時の僕はそんな情報知るわけもなく、重たいボストンバッグをゴロゴロ引きずりながら、異国の空港を文字通り“冒険”していたのです。
まるでRPGの主人公みたいに、会話イベントを乗り越え、情報を集め、目的地を目指して進む。
そう考えると、あの時の僕ってちょっとかっこよかったかもしれない。
途中、ベンチに腰かけて水を飲んでいたとき、隣に座った老夫婦がニコッと笑って「Welcome to America」と声をかけてくれました。
たった一言なのに、それが胸に染みた。
何かに包まれるような、初めてなのに懐かしいような、そんな不思議な優しさでした。
ロサンゼルス空港をさまよう僕に見えていたもの
それにしても、あの空港は広かった。
どこを見ても英語、どこを歩いても外国人。日本語の気配なんて一切なし。
バックパックの肩紐が食い込み、汗をかきながらターミナルを横断していると、目に飛び込んできたのはアメリカらしい景色──空港職員がパタパタと忙しなくカートを運び、カートの上にはコーラとハンバーガー。
「本当にアメリカに来たんだなぁ……」
それだけでちょっと感動してしまった。
一方、他の旅行者たちはスーツケースを転がして颯爽と歩いている。僕だけボストンバッグをゴロゴロ引きずり、浮いてるような気がして恥ずかしかった。
でも、負けたくなかった。
言葉も文化も何もわからないけど、だからこそ一歩ずつ前へ進むしかないんだ。
アメリカで生きていくって、こういうことかも

この“英語の第一声”体験は、僕にとって単なる笑い話ではありません。
知らない土地で、知らない人に、知らない言語で声をかける。
それってものすごい勇気がいること。
でも、その最初の一歩が踏み出せれば、世界って案外あたたかくて、広くて、優しいことに気づくのです。
この瞬間が、僕にとっての「アメリカとのファーストコンタクト」。
そして間違いなく、僕の人生を変えた“旅の第一歩”でした。
つづく──サンフランシスコ到着編へ!
無事にユナイテッドに乗り込み、次なる目的地サンフランシスコへ。
今度はどんな出会いとハプニングが待っているのか!?
続きはまた次回──!
